【リアンプ】音を工夫して音源作成費用を削減
バンドで音源をリリースする場合様々な作業、工程がありその最終系として.wavのファイルが完成します。
音源作成する中で他者に委託するべき部分、自身で補うべき部分を明確化することでクオリティを担保した上で投資金額を削減する為の方法をこちらの記事で述べていきます。
1.音源作りに必要なフェーズ
音源(今回の記事ではパッケージングされたものではなくファイルそのものを指します)はどのような工程で作業が行われ、完成ファイルとなるかを整理します。
- 各種サウンドメイク
- ドラムレコーディング
- ギター、ベースレコーディング
- 鍵盤etcレコーディング
- ボーカルレコーディング
- ミキシング(アレンジ)
- マスタリング
レコーディング順は重要度により多少前後する部分はあると思いますが基本的にはドラムのレコーディングから始まり、後に上に乗っかる楽器をレコーディングしていく事が多いと思います。
2.フェーズ別 必要な能力整理
前章で音源作成におけるフェーズを整理しましたが各フェーズでどのような能力が必要であるか整理していきます。
この整理を行うことで自分で出来るフェーズを浮かび上がらせることができますし、これから自分が身につけるべき能力の把握にも繋がります。
①各種サウンドメイク
自分の判断で好きな音をつければ良いから問題ないと考える方が多いと思いますが、現実は異なります。
最終的な音源の完成イメージに近い音=帯域知識を基にミックスする前提で取られる音があるなどの要素からエンジニア任せた方が良い結果が得られる可能性の高いフェーズです。
過去にレコーディング経験のある方では自分が思っていたものより良いものが返ってきた経験がある方も多いと思います。ミキシングは音を補正するものであり根底から変えるものではないことを念頭に入れておきましょう。
②ドラムレコーディング
チャンネル数の多いミキサー/オーディオインターフェースを持っている場合、スタジオのマイクをレンタルして録音することは可能です。 厳密な話ですとレコーディングが複数日に跨ぐ場合にはマイク設置位置、指向性の面で音が揃わないというリスクもあります。
電子ドラムでのレコーディングという選択肢も出てきています。
③ギター、ベースレコーディング
アンプからマイクで撮るという方法では素人には中々難しいものがあると思います。アンプの音量、マイクの位置の問題でノイズや音割れが発生する可能性もあります。
近年はデジタルアンプの進化が目紛しい為、所持している方はaxeやkemper、helix等でラインレコーディングすることがアマチュアの場合圧倒的にコストパフォーマンスが高いと言えます。事実現場でも完全にデジタルアンプで仕上げることが多々あります。
OVERVIEW | kemperwww.korg-kid.com
④鍵盤etcレコーディング
ピアノの場合に置いても今日では殆どがデジタルのモデリング鍵盤、シンセサイザーで音色を作成、プレイしていると思います。こちらもギター、ベース同様ラインレコーディングが可能です。
⑤ボーカルレコーディング
ボーカルのレコーディングはポップガード等必要なものはありますがそこまで難しいものではありません。またボーカルのレコーディングではコンデンサマイクが必須であるという認識の方が多いかも知れませんがそんなことはありません。むしろ素人がレコーディングする場合においては外部の音を拾いやすいコンデンサマイクではノイズが原因でむしろ使用不可能な音が撮れてしまうことも珍しくありません。
ボーカル 宅録 通販|サウンドハウスwww.soundhouse.co.jp
⑥ミキシング(アレンジ)
レコーディングされたそれぞれの音を混ぜ、すべての音が綺麗に聞こえるように調整をかけていきます。
音圧戦争なんてワードがあるくらい最近の音楽 特にアニソンは音圧が高く所謂"海苔波形"です。
音圧の高い音源はしっかり帯域の棲み分けがされているからこそできるものです。また本格的なミックスは高性能なプラグイン等でないと構成できない部分がどうしてもあり、プラグインを調べる/使えるようになる時間、買うお金等を考えた場合 音源制作の中で最もコストパフォーマンスが低い工程と言っても差し支えはないと思います。
だからこそ面白いですし出来ることによるメリットも多いのですが…。
⑦マスタリング
端的に言いますとミキシングが終わった音源をいつも聴いているパワーのある音に変える/底上げする工程のようなイメージです。
ミキシング同様に専門的知識が必要となります。
フェーズ別に作業を確認した時、自分でできそうと思ったものはなんだったでしょうか。
恐らく皆さんは
ミキシング/マスタリング>>>サウンドメイク>>>ドラムレコーディング>その他レコーディング
と感じたのではないでしょうか。
難しいと感じてもDTMをかじってさえいれば乗り越えられるフェーズもございます。
3.セルフレコーディングしよう
①ドラム
書き忘れていましたがアマチュアでリズムを完璧にキープして叩けるドラマーは殆ど居ないと思います。どれだけ上手くてもバスドラのデータに大幅に修正が必要になったりするものです。修正が増える=時間がかかる=費用増加です。
そこで今回オススメしたいものは打ち込みドラムです。
打ち込みドラムを行ったことがある人では"これで音源化は難しい"と感じた方も多いのではないかと思います。今回推奨したい方法は音色等細かな部分をエンジニアに投げる方法です。
打ち込みドラムはmidiという譜面のようなもので打ち込まれることが殆どです。
<midiとは>
MIDIは、電子楽器の演奏データを機器間で転送・共有するための共通規格である。
ドラム音源を所持しているエンジニアに依頼することでレコーディング費用をゴッソリ削減できる場合があります。
現在では電子ドラムでレコーディング→譜面のみ抽出→あとから音色の交換というケースも増えていることからドラム音源を所持しているエンジニアも増えました。事前に確認さえすれば安心してお任せできると思います。
またエンジニアによっては別途ベロシティ(ドラムの要所要所のニュアンス)も調整してくれる場合があり、こちらの調整をプロに行なってもらう事でクオリティが飛躍的に向上します。
依頼するエンジニアによって金額は変わりますが間違いなく愚直にレコーディングするより価格を抑えられますし、時間の削減にも繋がります。
<レコーディングした場合>
・スタジオ代
・その場でのエンジニアの立ち会い
・音色選定(タム類のチューニングetc)
<打ち込みの場合>
・スタジオ代→自宅で採譜
・その場でのエンジニアの立ち会い→なし
・音色選定(タム類のチューニングetc)→プリセットを調整
パッドを叩いてリズムを打ち込む!-ドラム音源に最適なMIDIパッド・コントローラー|サウンドハウスwww.soundhouse.co.jp
②ギター、ベース、鍵盤etc
axeやkemperなどのデジタルアンプをラインレコーディングするという手段があると先に述べましたが、こちらもドラム同様後から音色を差し替えます。
自身でオーディオインターフェースに接続してドライ(エフェクトが何もかかっていない原音)をレコーディングして音色の設定はエンジニアに投げる方法です。
音源制作を行うという状況になった時、デモ音源が作成されていると思います。
エンジニアにデモに近くより高品質な音に変えてもらう事でクオリティを上げることができます。高級デジタルアンプを所持していなくても持っているエンジニアにリアンプしてもらうという手は経費削減の面では有効であると言えます。
③ボーカル
先の内容からボーカルレコーディングは自身で行うことができると記載しましたが実際はレコーディングもエンジニア任せた方がクオリティの高いものが生まれると思います。
楽曲において重要な要素はボーカルとドラムです。特にボーカルは重要であり、曲の印象の殆どはボーカルで決まると言っても過言ではありません。
その為、ボーカルレコーディングをエンジニアの立合いのもと行うことで一定のクオリティを担保する為には躊躇ってはいけない投資と言えます。
4.削減できる金額
前章ではドラムを含む、各種レコーディングは素人でも行うことができると述べましたがこちらを実施することで具体的にどれだけの費用を抑えられるかまとめます。
<全てエンジニアが対応>
- レコーディング時間 : 8h / 1曲
- ブース代 : 5000円 / 1h
- エンジニア代 : 10000円
計45000円
<楽曲セルフレコーディング>
- レコーディング時間 : 2h / 1日
- ブース代 : 5000円 / 1h
- エンジニア代 : 20000円
計30000円
※各費用はアマチュアバンドが依頼するであろうレコーディングスタジオのオーソドックスな金額を記載しております。
比較から分かる通り1曲につき2万円程削減できるケースもあります。
もしバンドとして5曲入りのCDをリリースする場合ですと10万円削減できてしまいます。
10万円はアマチュア映像作家にMV作成を依頼していける金額であり、短期的な目線で見れば明らかにアドバンテージがあると言えます。
5.結論
セルフレコーディングすることでかなりの費用を削減できることがわかりました。
とてもDTMer目線な話となってしまいましたが、DTM周りの知識というのは音を作る上でも大切な知識を身につけてくれるキッカリとなります。積極的に触れていきましょう。
こちらの手法を使う場合の注意ですが、リアンプが可能かどうか等、事前の確認を必ず行なってください。
コツですが、ボーカロイド楽曲、同人音楽の対応経験がエンジニアにお願いすると良いかも知れません。
一人で作曲から音源化まで行なっている場合の多くはドラムで打ち込みが採用され、ギター、ベースについても自室で完結させる=デジタル機器で対応してることが多く、今回の手法の対応経験を持っていることが多いです。
バンド活動を円滑にするには金銭面の見える化は重要です。
ジャンルによっては費用対効果は変わってきますので、お金をかけるべき部分と削減するべき部分を可視化する癖をつけていきましょう。