【数字で分析】CDとサブスク どちらが良い?
こちらはかなりピンポイントな内容となっております。 この内容を鵜呑みにするのではなく、冷静に考えると為の材料としてお使いください。
目次
- 1.サブスク(サブスクリプション音楽配信)とは
- 2.サブスクの流行度
- 3.サブスクのリリース方法
- 4.サブスクの価格
- 5.CDのリリース/販売方法
- 6.CDの価格
- 7.CDとサブスクの売上金比較
- 8.結論
1.サブスク(サブスクリプション音楽配信)とは
サブスクとはサブスクリプション音楽配信の略称として使用されることが増えてきた単語です。
<サブクスリプション方式とは>
サブスクリプション方式(サブスクリプションほうしき)はビジネスモデルの1つ。利用者はモノを買い取るのではなく、モノの利用権を借りて利用した期間に応じて料金を支払う方式。
とwikipedia内で記載されている通り、曲をそれぞれ購入するのではなく
大量の楽曲が納められた貯蔵庫に自由にアクセスできるようにするようなイメージのシステムとなっています。
代表的なものとしてspotify、apple music、amazon primeなどが上げられます。
今でもCDに根強い人気のある日本では無形の対価にお金を払うこのような形式のサービスは中々流行りにくい部分がありますが、それでも徐々に利用者は増えています。
2.サブスクの流行度
海外では既にサブスクは主流となっており、spotifyで有料会員数1.08億人、applemusicで6000万人が契約者となっているようです。※2019/6時点
ただ国内では先に述べた通り、まだまだ利用者は少ないようです。
サブスクの利用者については2019年時点で
・有料利用者:14%
・無料利用者:13%
・非利用者 :73%
程となっており、全体としての利用者は27%となっています。
また、国内においては以下の4サービスの利用者が多い形となっております。
・apple music
・LINE music
3.サブスクのリリース方法
サブスクでのリリースでは国内ではtunecore様がサポートを行っており、そちらから各サービスへの配信が可能となっています。現状アマチュアバンドのサブスクリリースとしてはこちらを利用するのがベターと思われます。
こちらからはシングル(1曲)かアルバム(2曲以上)を配信する形となり、私も度々利用していますがリリース日の指定や売上推移のcsv出力などバンド運営側としても美味しい機能がしっかり準備されていました。
4.サブスクの価格
ここからが重要となる金銭のお話となります。
まずtunecore様は手数量を除いて売上金の還元率は100%となっております。
配信にかかる費用は以下の通り。
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<シングル>
1年間 1,410円 (税抜き)
2年間 2,650円 (税抜き)
3年間 3,790円 (税抜き)
<アルバム>
1年間 4,750円 (税抜き)
2年間 8,560円 (税抜き)
3年間 12,370円 (税抜き)
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1再生に対する対価はサービスにより変わってきますが、基本は1再生1円という解釈で問題ないと思います。
(1再生における単価はspotifyでapplemusicで倍以上変わってきますが、日本ではspotifyの利用者の方が少ないため今回は1円で計算します。)
厳しい書き方になりますが、軌道に乗る前のバンドであれば以下のようなリスクがあるため、1年か2年ほどの契約が理想かと思っています。
・解散
・次の音源が完成する
・旬が過ぎて再生されなくなる
今回では配信期間を1年として計算をしたいと思います。
5.CDのリリース/販売方法
CDの制作料金はパッケージングにより値段が左右されます。
特定の店舗を引き合いに出しても仕方がないので今回は自身でいくつか利用しての大体の価格平均での計算とします。今回はよくある最小ロットで100枚生産での価格とします。
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紙ジャケ:約4.5万
5mmケース:約3万
10mmケース:約5.5万
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業者に寄っては送料、関税等が発生しますがそちらも含む大体の価格を記載しております。 今回は比較的安価で見栄えも良い紙ジャケでの販売を想定し、制作費用は4.5万とします。
6.CDの価格
入ってるいる曲数で販売価格は左右されますが、今回は軌道に乗る前のアマチュアバンドを想定しているので4曲入り音源想定とします。
4曲入り音源の場合、ジャンルやクオリティにもよりますが安くて500円、高くても1200円程度が顧客が買ってくれる限界かなと思います。今回は平均的な800円での販売として一旦計算を行ってみたいと思います。
7.CDとサブスクの売上金比較
<初期費用>
・サブスク:約8500円
・CD:約4.5万円
<初期費用回収に必要な条件>
・サブスク:2年間で8500以上再生
・CD:57枚以上販売
この結果をど捉えるかはバンドのジャンルや顧客に見えているバンドのイメージで変わってくると思います。
・サブスク
サブスクの場合は8500再生が必要となります。4曲入りの音源集と過程した場合には2125回通して聞いてもらう必要があります。アマチュアの場合4曲中1曲キラーチューンがあったとしても回収は難しい数字な気がします。
ただメリットとして気軽に色んな人に聞いてもらえる=新規顧客の確保に繋がることが上げられます。例えばspotifyでは無料ユーザーであっても再生は可能であるためSNSでのチェックのされ方という面では強みがあると言えますがサブスク 特にspotifyはまだ日本で特別流行しているわけではないため恩恵は少ないと思われます。
・CD
57枚販売で回収可能となります。サブスクと同等の条件として2年間を猶予と考えたてもCDリリース時にしっかりとリリースの企画イベントを実施できれば十分に回収できる数字と言えます。またサブスクと"旬"に対する概念が異なり、後に人気が出たとしてのコレクター的な買い方をしてもらえるという強みが挙げられます。ただサブスクのように新規顧客の獲得は難しく、もし100枚全て売り切ったとしても売り上げ金は3.5万ほどにしかなりません。サブスクには売上に上限はありません。
8.結論
音楽ジャンルの特性も関わってきますが日本での音源の販売では基本的にCD販売の方が適していると言えます。
年齢別のデータを算出していないのですが国内でのサブスク利用者は27%ということで利用者が増えてきていることが事実としてありますが、若年層相手に自分たちの曲を聴いてもらう場合メジャーバンドの音源と同じ土俵で再生を勝ち取ることは中々大変なことであると言えます。
それは生楽器を用いた音源の場合、打ち込み音楽と異なりミキシング等でクオリティに差がつき易いことで不利になる傾向があることも要素として挙げられると思います。
自身もサブスクで配信を行なっていますが、サブスクの国内再生収益は少なく主力なものは海外での再生です。英詞で尚且つ発音がネイティブor誤魔化せる音(シャウト等)であればサブスクを用いた戦い方も視野に入れて良いかもしれません。
流通方法として、CDとサブスクの両方からリリースするという手もあります。
CDとサブスクを同時にリリースした場合は売上も分散されるため、恐らくサブスクの方で投資金額以上のものは回収できないと思いますのでバンドが軌道に乗るまではおすすめできません。
<まとめ>
・CDで販売した方がお得
・海外向けに戦える音源ならサブスクも視野に
・CDとサブスクの両刀は軌道に乗るまでNG
最初に述べての通り、これはピンポイントな比較であり全体に当てはまるものではありません。 今回のようにリリース前に一度思考するフェーズを挟むことで無駄なリスクを回避し費用対効果を高めることができます。音源が完成したからといって焦らず、一回踏みとどまって考える時間を作りましょう。